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Nikon Fの世界 第6話 「Nikon Fの持病」(70349XX)

こんにちはMinoluです。

今回ご紹介するのはこちらの「Nikon F」です。

こちらは1969年に販売された70349XX番のシルバーボディとセミソフトケースです。

ファインダーは69XXXXX番台以降に付属されるアイレベルファインダーで接眼レンズ周辺部が正方形に近い四角形になっています。

それぞれの部品はシリアル番号との矛盾はありませんでしたのでオリジナルのようです。

こちらの個体は記録が終わり、今後も色々なNikonFを手にしたいので手放すことにしました。

ところで、基本的にFを入手すると各部の記録と簡易整備をするのですが、こちらの個体も整備済みで動作は良好です。

(ただし50年以上前のお年寄りなので、ご機嫌が悪くなることがあるのはオールドカメラならではのご愛嬌です。)

年代的に仕方がないのですが、これまで手にした「Nikon F」には大小なんらかの不調を抱えていました。

例えヤ〇オク等で「シャッターは全速度で切れました」と記載があっても、それはシャッターボタンを押せば動きました、という意味ではウソ偽りはありませんが、実はミラーだけ動いて幕はきちんと開いていないということはよくあることです。

これはシャッター速度が1/1000Sの時によくある不具合で、前幕と後ろ幕、そしてミラー上下の移動タイミングが微妙にズレることで生じます。

この個体は幸いそのようなことはなっかたのですが、私の場合は以下のような簡易テストをするようにしています。

 

まずFの後ろカバーを外し、その後ろにデジカメを出来るだけ隙間が空かないようにセットします。(下の写真)

デジカメで1/1000Sで露出が合うISO値と絞り値を調整し、絞り値とISO値はそのままでシャッター速度はスローにします。

Nikon Fは1/1000Sでシャッターが切れるようにセットし、デジカメのシャッターを押すと同時(シャッターが開いているタイミング)にFのシャッターを切ります。

デジカメがスローシャッター状態なので多少横からの光が入りますが、被写体が適正露出になるかでおおよその検査はできます。

今回のFは上のような絵になったので、きちんと前後幕の横移動とミラーの上下タイミングが合っていることと、凡そシャッター速度が出ていると判断できます。

 

その他、シャッター関連でよくある不具合として低速シャッター時の速度異常があります。

この症状は低速シャッター時に速度を調整するスローガバナーというパーツの異常です。

Nikon F」のすごいところは、製造から50年以上経過しているにもかかわらず、これらの異常は部品の破損ではなく大抵、清掃と調整で正常に動くようになることです。

ただし、モルトは間違いなく劣化しているので交換してあげます。

 

このFもモルト交換済みです。(マウント上部のスポンジのようなもの)

ただ、写りや機能には問題ないのですが、このモルトが朽ちて無くなっている状態でシャッターを切ると、ミラーがプリズムを支える金属に直接ヒットするので、ミラーに横線のキズが入ります。

このキズは多くのFに見られます。

この個体にもうっすらとそのキズが見られます。

モルト交換前のカラ打ちは控えたいものです。

あとはプリズム劣化ですね。

この個体にも多少の劣化が見られます。

後期のアイレベルはモルト劣化の影響でプリズムを侵食している個体がよくあります。

このモルト劣化タイプの症状は後期アイレベルに見られminolta XG-EやX-7に盛大に見られる劣化と原因は同じなのですが、販売当初の前期アイレベルではモルトの素材が違うのでこの症状は少ないです。

また、別の症状としてプリズムの頂上が縦1列に劣化するという現象が前期後期両方のアイレベルに時折見られます。

50年以上も経てば経年劣化は仕方がないとは思いますが。

さて、こちらのFも軽症ですが、ややその持病がでています。

 

今回はソフトケースもあるので、一緒に持ち出せばレトロ感もあって(意外にも?)ファッショナブルだと思います。

なぜか紐がすごく短くなってるので肩にかけると窮屈です。