Minoluの部屋

カメラなどMinoluの趣味の世界

Nikkor レンズの世界 第1話 NIKKOR-O·C Auto 1:2 f=35mm Ai改造品

こんにちはMinoluです。

今回はNIKKOR-O·C Auto 1:2 f=35mm です。

こちらはNikonによる正規Ai改造品になります。

元々、私はNikon党ではなかったのでAi改造について知らなかったのですが、こちらのレンズを手にしたことをきっかけに、(当時の?)Nikonの顧客に対する思いに感動し、私がNikonマニアになったきっかけの一つとなりました。

Ai改造については、Nikon党の諸先輩方がまとめられておりますのでここで語ることは控えますが、この1974年頃に製造されたレンズが今のデジタル一眼で使えるなんてことは、C社のフルサイズ一眼をメイン機としているMinoluには驚きしかありませでした。

ちなみにNikon公式によるとAiとは「Automatic Maximum Aperture Indexing」の略で「開放F値自動補正方式」だそうです。

しかも、このNIKKOR-O·C Auto 1:2 f=35mmはよく写るという定評があります。

これは約50年前に製造されたレンズです。

今のデジタルカメラの画素数を考えると、本当によく写るのか疑わしいと思うのは私だけでしょうか?

早速、テストしてみました。

残念ながら私の普段使いのカメラはC社製なので、買ってしまいました。

これです。

Ai改造レンズが装着できるカメラについてニコン公式で調べ、コスパがよかったのでD600にしました。

D600って諸事情あってD610にモデルチェンジしたようですね。

お買い得でした。

2012年のカメラと1974年のレンズが出合いました。

しつこいようですが、Nikonさんはすごい、またまた感動です。

 

では、撮影してみましょう。

JPG撮って出しです。

恐るべき表現力ですね。

ちなみに等倍で切り出してみます。

1974年製ですよ。

2400万画素のカメラにしっかりと通用しています。

世界が驚愕したのもうなずけます。

ちなみに、このレンズの最大の売りはNIKKOR-O·Cの名にもある「C」で、これはマルチコート化されたことを指しています。

マルチコート化により発色が格段に進歩し、写真でもそれが見て取れます。

 

次は開放F2.0で撮影した写真です。

いいですねぇ。言葉がないです。

評判通りのNIKKOR-O·C Auto 1:2 f=35mmでした。

 

Nikon Fの世界 第7話 「Nikkor F」での撮影②(67742XX)

こんにちはMinoluです。

今回はこちらのニッコールFの撮影レビューです。

 

持ち出しはNikon Fの純正カメラバッグに入れ連れ歩きました。

今のデジタル一眼ではこのようなケースで持ち運びすることがなく、持ち運びの時にコツンとぶつけないか大変気を遣っているのですが、このようなカメラバッグがあると非常に楽であることに気づかされました。

さて、今回は約1か月間をかけて27枚撮りのフィルム1本の撮影を行いました。

こちらが現像を終えたフィルムです。

現像に出してから写真ができるまでの「間(ま)」を待つ気分が大変懐かしく感じます。

まずはカメラ本体の光漏れのチェックです。

モルトの貼り替えも問題なさそうで特に光漏れはなさそうです。

(網戸の前でフィルムを撮影したため、網目の影がうつりこんでしまいました。)

 

では、主な写真を見ていきましょう。

こちらは目の前を時速300kmくらいで通過する新幹線の後方をシャッター速度1/1000秒で撮影したものです。

元々、簡易テストで1/1000秒の動作確認は出来ていましたが、明るさも適正範囲ですのでシャッター速度はでているようです。

実際、時速300kmで移動する車両は1/1000秒でも約8cm移動します。

仮に1/500秒レベルの動作だと約16cmも移動するので、真横のショットではないですがワイパー等はかなり被写体ブレを起こしているはずです。

 

こちらはNIKKOR-S 50mm f1.4のレンズの実力確認のため、開放f1.4で撮影したものです。良い感じのボケ味が出ているのですが、開放だと周辺光量落ちが出てしまっています。

今となればそれもこの1966年製のレンズの味なのかもしれません。

当然ですが絞ればこの周辺光量落ちはなくなります。

 

遠景です。

50年前以上のカメラとは思えない描写力です。

当時、世界がこのカメラに驚いたこともうなずけます。

ダイナミックレンジの狭さは、このフィルムの限界なんだと思います。

露出計については、今のデジカメの精度と同じ目線で考えてはいけないものだと感じました。

一応、中央重点測光なのですが、それでも全体的な光量に強めに引っ張られてしまうようで、フレーミング状態で露出を測るのではなく、被写体の前できちんと露出を測ってからフレーミングするようなイメージで撮影するのがいいと思います。

少々癖がある露出計なので想像ですが、長く付き合えばシーンに応じた露出補正量が分かってくるように感じました。

そう言った意味では1枚1枚をきっちり撮影していく姿勢を楽しむことが必要になってきますね。

 

さらにフォトミックTNファインダーはASA100時にEV2~17の範囲で輝度測定ができるのですが、その範囲外になると針が全然動かなくなるので、故障か?と一瞬驚いてしまうことが何度かあったのですが、同時にいかに今のカメラが良く出来ているのかを改めて知ることになりました。

 

今回の撮影目的は主に「Nikkor F」と50mmレンズのテストでしたが、テストを通じて写真撮影との向き合い方について、様々な気づきがあったことは大きな収穫だったと思います。

 

Nikon Fの世界 第7話 「Nikkor F」での撮影①(67742XX)

こんにちはMinoluです。

いよいよこちらの「Nikkor F」の整備が終わりましたのでフィルムを入れて撮影してみたいと思います。

TNファインダーの露出計の精度と使い勝手も試すことができるのでとても楽しみです。

今回の撮影はレンズもこちらのNIKKOR-S 50mm f1.4だけを使い、色々なシーンで撮影してみたいと思っています。

 

それでは準備開始です。

今回は富士フィルムのネガフィルム「Super PREMIUM」ISO400を使います。

最近、フィルムも高価になってしまい悲しいですね。

そう言えば普通にフィルムを使ってた昭和の時代には、ISO400のことをASA(アーサー)400って言ってましたね。

何で呼び名が変わったんでしょうね。

今でもついついアーサーって言ってしまうのですが。。。

電池は2個の新品LR44に1.3Vに電圧を落とす抵抗付きアダプターを使いファインダーにセットします。

 

TNファインダーにはレンズの開放絞り値を読み取る機能がないので、手動でASA400とf1.4のメモリを合わせます。

 

ファインダー横の小さいスイッチ(下図の説明書「露出計ONボタン」)を押し込むと、Nと書かれたボタン(下図の説明書「露出計OFFボタン」)が持ち上がり露出計のスイッチがONになります。

そしてそのNボタンの前面側にある小さいバッテリーチェックボタン(下図の説明書「電池チェックボタン」)を押すと露出計の針が〇を指し、バッテリーが正しく機能していることが確認できます。

(↑ Nikon F フォトミックTNファインダー 使い方」(説明書)より)

 

いよいよフィルムの充填です。

 

裏カバーを外しフィルムを左側のフォルダーにセットし、右側の巻取り穴にフィルムの先を差しこみ、巻き上げ爪がフィルムの穴に噛んでいることを確認しながら、ゆっくりとフィルムを巻き上げます。

ちなみに、この右側の巻取り穴(スリット)の数は年代によって違います。

67742XX番は数が多いものに変更されたタイプなので、充填が少し楽になっています。

(おおよそ6771XXX番以降がこちらのタイプに変更されているようなので、この個体はギリギリ更新後のタイプになります。)

 

露出計の針は、ファインダーを覗いても確認ができます。

実際に撮影をしてみると、ファインダー外部の露出針で露出確認をすることはなく、こちらのファインダー内の針で露出確認をすることが大半でした。

ここでは、始動前点検のためにカメラ本体のシャッタースピードダイヤルを回し、それと連動して露出計が動いているかのチェックをしました。

これで準備完了です。

今のデジカメと違い、手間がかかることを楽しむのもオールドNikon趣味の一興でしょうか。

 

すべての動作が順調でしたので、いよいよ撮影に出かけます。

その結果は次回レビューさせていただきます。

Nikon Fの世界 第6話 「Nikon Fの持病」(70349XX)

こんにちはMinoluです。

今回ご紹介するのはこちらの「Nikon F」です。

こちらは1969年に販売された70349XX番のシルバーボディとセミソフトケースです。

ファインダーは69XXXXX番台以降に付属されるアイレベルファインダーで接眼レンズ周辺部が正方形に近い四角形になっています。

それぞれの部品はシリアル番号との矛盾はありませんでしたのでオリジナルのようです。

こちらの個体は記録が終わり、今後も色々なNikonFを手にしたいので手放すことにしました。

ところで、基本的にFを入手すると各部の記録と簡易整備をするのですが、こちらの個体も整備済みで動作は良好です。

(ただし50年以上前のお年寄りなので、ご機嫌が悪くなることがあるのはオールドカメラならではのご愛嬌です。)

年代的に仕方がないのですが、これまで手にした「Nikon F」には大小なんらかの不調を抱えていました。

例えヤ〇オク等で「シャッターは全速度で切れました」と記載があっても、それはシャッターボタンを押せば動きました、という意味ではウソ偽りはありませんが、実はミラーだけ動いて幕はきちんと開いていないということはよくあることです。

これはシャッター速度が1/1000Sの時によくある不具合で、前幕と後ろ幕、そしてミラー上下の移動タイミングが微妙にズレることで生じます。

この個体は幸いそのようなことはなっかたのですが、私の場合は以下のような簡易テストをするようにしています。

 

まずFの後ろカバーを外し、その後ろにデジカメを出来るだけ隙間が空かないようにセットします。(下の写真)

デジカメで1/1000Sで露出が合うISO値と絞り値を調整し、絞り値とISO値はそのままでシャッター速度はスローにします。

Nikon Fは1/1000Sでシャッターが切れるようにセットし、デジカメのシャッターを押すと同時(シャッターが開いているタイミング)にFのシャッターを切ります。

デジカメがスローシャッター状態なので多少横からの光が入りますが、被写体が適正露出になるかでおおよその検査はできます。

今回のFは上のような絵になったので、きちんと前後幕の横移動とミラーの上下タイミングが合っていることと、凡そシャッター速度が出ていると判断できます。

 

その他、シャッター関連でよくある不具合として低速シャッター時の速度異常があります。

この症状は低速シャッター時に速度を調整するスローガバナーというパーツの異常です。

Nikon F」のすごいところは、製造から50年以上経過しているにもかかわらず、これらの異常は部品の破損ではなく大抵、清掃と調整で正常に動くようになることです。

ただし、モルトは間違いなく劣化しているので交換してあげます。

 

このFもモルト交換済みです。(マウント上部のスポンジのようなもの)

ただ、写りや機能には問題ないのですが、このモルトが朽ちて無くなっている状態でシャッターを切ると、ミラーがプリズムを支える金属に直接ヒットするので、ミラーに横線のキズが入ります。

このキズは多くのFに見られます。

この個体にもうっすらとそのキズが見られます。

モルト交換前のカラ打ちは控えたいものです。

あとはプリズム劣化ですね。

この個体にも多少の劣化が見られます。

後期のアイレベルはモルト劣化の影響でプリズムを侵食している個体がよくあります。

このモルト劣化タイプの症状は後期アイレベルに見られminolta XG-EやX-7に盛大に見られる劣化と原因は同じなのですが、販売当初の前期アイレベルではモルトの素材が違うのでこの症状は少ないです。

また、別の症状としてプリズムの頂上が縦1列に劣化するという現象が前期後期両方のアイレベルに時折見られます。

50年以上も経てば経年劣化は仕方がないとは思いますが。

さて、こちらのFも軽症ですが、ややその持病がでています。

 

今回はソフトケースもあるので、一緒に持ち出せばレトロ感もあって(意外にも?)ファッショナブルだと思います。

なぜか紐がすごく短くなってるので肩にかけると窮屈です。

 

Nikon Fの世界 第5話 「幻のNikkor F」(67742XX)

こんにちはMinoluです。

先ずはこちらの「F」をご覧ください。

ブラックボディにTNファインダーの組み合わせは中々渋くかっこいいですね。

ところで、みなさん気がつかれましたか?

フォトミックTNファインダーに刻印された文字が「Nikon」ではなく「Nikkor」と刻印されています。

さて、この「Nikkor F」のことをご存じの方はかなり筋金入りのニコンマニアだと思います。

実はこの「Nikkor F」、中身は「Nikon F」と同じなのですが、ある歴史的な事情があって刻印された文字だけが違うFなんです。

残念ながらこちらのセットですがカメラ本体はNikonの文字が刻印されているので、後の時代に組み合わされた個体のようです。

その歴史的な事情を簡単に振り返ってみましょう。

1950年代の西ドイツではカール・ツァイス財団傘下で創設された名門ツァイス・イコン(Zeiss Ikon )社がコンタレックスという一眼レフを販売していました。 

ニコンは「Nikon F」の発売前も「Nikon」というブランドを掲げていましたが、「Nikon F」の発売後、世界のプロの間で「Nikon F」の評判が上がってくると、名門ツァイスも見過ごせない存在となりました。

そこでツァイスは「Nikon」はZeiss Ikonの「Ikon」にNを付けただけの模倣であると西ドイツの裁判所に訴えたのです。

その結果、裁判所からニコンに対しNikon Fの一時販売差し止め命令が出されたのでした。
それに対しニコンは西ドイツで販売されるすべての製品の文字を「Nikon」から「Nikkor」に変更しました。

それが「Nikkor F」です。

Nikkor」ブランドのFは1963年頃から1970年後半にかけて、西ドイツで販売されたすべての製品に刻印されました。

ニコンカメラの研究で3本の指に入るといわれるUli Koch氏によると、正確な数は不明ながら3000台~4000台ではないかと言われているようです。

そんな「Nikkor」の中でも、この個体は特に数が少ないフォトミックTNファインダーとなります。

Nikon F」というカメラがいかに歴史的価値を持つのかを示すエピソードだと思いませんか。

こちらのNikkorフォトミックTNファインダーですが、「Nikon F」カメラ本体と50mmレンズの組み合わせで入手しました。

 

では、それぞれ個別にみていきます。

まず、このフォトミックTNファインダーですが、製造番号から見てほぼ最終ロットに近い1968年後半くらいの製品と思われます。

ただ、1968年後半頃のNikon Fのシリアル番号は694XXXXあたりになるので、明らかにカメラのほうが古いことが分かります。

また、このカメラ(67742XX番)が発売された1966年当時の西ドイツではカメラの刻印も「Nikkor」の時代なので、何らかの理由でこのTNファインダーが西ドイツから海外に出て、別の国で組み合わされたということになります。

西ドイツでどんな人が購入し、そしてどのようないきさつで西ドイツから日本に戻ってきたんでしょうね。

興味はつきません。

次にレンズです。

こちらのレンズもシリアルナンバーから1966年頃の個体であることが分かります。

さらにレンズフードやキャップ、フィルターに関しても、その特徴から1966年製造当時のものであることの矛盾は見られませんでしたので、購入当初のままの組み合わせだと思われます。

年式から見て、カメラの年式とも合致するのでカメラとレンズは購入時の組み合わせではないかと想像しています。

なお、このTNファインダーですが、非常に貴重なものなのでオリジナルを損なうことが無いように簡易な清掃と調整を行い、きちんと動作するレベルにまで仕上げました。

実際にフィルムを入れて撮影してみたいと思いますので、次回以降でレビューさせていただきたいと思います。

 

 

 

Nikon Fの世界 第4話 「Black Body」(72543XX)

こんにちはMinoluです。

Nikon Fブラックボディ(72543XX)です。

中古相場では相変わらずシルバーボディより高値です。

ブラックボディのFは塗装がはがれると真鍮が現れるのでスレても渋いです。

巻き上げレバーがシルバーですがこれがオリジナルです。

大小の各パーツが72543XX番の時代の正しい部品となっていることが分かります。

背面もオリジナル部品のようです。

ちなみにストラップの止め金具は726XXXXあたりから補強されるのですが、これはギリギリ補強前ですね。

さて、底面はどうでしょうか。Nikon Fは裏蓋が分離されるのでしばしば違う時代のものが組み合わせれています。

この番号だとASA1600対応になっているはずです。

ASA1600がありました。

あとは全体的に汚れが目立つので清掃と簡易整備をしようと思います。

 

 

Nikon Fの世界 第3話 「Nikon Fのファインダー変遷」

こんにちはMinoluです。

引き続きNikon Fのお話です。

色々集めて眺めてます。それぞれ個性がありますね。

中にはかなりレアな個体もありますが、そこは次回以降でご紹介します。

さて、今回はファインダーのお話です。

Nikon Fのファインダーのうんちくについては多くの諸先輩方のサイトで語られていますので王道部分の話は控えます。

こちらは前期のアイレベル。

(整備中の仮止め状態なので皮が少々浮いてます。。汗)

そしてこちらが後期。

実はもっと細かい世代による部品の違いがあります。

あくまで主観ですが前期と後期でプリズム上部のモルトの質が明らかに違っており、劣化した後期モルトは概ねプリズムを侵食していますが、前期モルトはプリズム浸食が少ないです。

 

これがフォトミックの前期。

露出計測レンズのカバーを上げると写真のように赤いマークが見えます。

この赤は露出計がONになっていることを示しているらしい。

こちらがフォトミック後期。

Nikonと刻印されたシルバーのメッキの種類も違うようです。このフォトミックも前期や後期よりも更に細かく世代による部品の違いがあります。

ちなみに露光は本体の丸い窓から計測する外交式露出計になっています。

実際に整備して使ってみましたが、誤差が大きくとても実用的といえるものではありませんでした。

被写体の近くで露出を測ってから撮影位置に戻って撮影しないと厳しいと感じました。

上の2枚はフォトミックTとフォトミックTn。

違いが分かりますか?

外見上の違いはバッテリーチェック機能が付いたことによる小さな変更のみですが、露出計が平均測光から中央重点測光に変わりました。

これによりかなり実用的なものになったんだろうなと想像しています。

実際にNikon D600とFに同じレンズを装着して露出値の比較をしましたが、ほぼ同じ露出値を示しました。

そして最終形がフォトミックFTn。

このFTnにも色々なうんちくがあるようですが、それはまた機会があれば。